「渓流釣りのヒントを探る」川魚の大きさや数は陸の虫の量で決まる?

2021/06/23

雑学 動物

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神戸大学大学院理学研究科の佐藤拓哉准教授・上田るい(大学院生)と東京大学大学院農学生命科学研究科の瀧本岳准教授からなる研究グループは、隣接する森の虫が川に落下して魚の餌となる季節の長さが、生態や環境に大きな影響を及ぼすことを明らかにしました。

この研究成果は、3月4日(現地時間)に、英科学誌「Journal of Animal Ecology」に掲載されました。

今回はこの研究成果から渓流釣りのヒントが隠れていないかと思い、紹介させていただきます。


渓流域の生態の概要

渓流釣りをする人にはご存じの通り、イワナやヤマメなど渓流魚は周囲の森から川に落ちてくるミミズやバッタ、トンボなどの陸生動物を好んで食べています。イワナであればカエルやヘビまで捕食してしまいます。

渓流魚は、陸生動物の量が多いときには、カワゲラらオニチョロなど水生昆虫の幼虫やヨコエビなどの底生動物をあまり食べません。その結果、底生動物の生息個体数が多く維持されると、底生動物が川の中にある落葉を食べて破砕する速度は高まります。このように、森が育む陸生動物は、魚の摂餌活動を変化させることで、川の食物網や生態系機能に大きな影響を及ぼします。

森から川に入ってくる陸生動物の量は、春に木々が展葉する頃から増加し、初夏にピークを迎えて、落葉期に伴って減少します。

このような季節パターンは、冷温帯から温帯の河川に共通して見られます。一方、高緯度や高標高の森では、展葉から落葉までの期間が短いのに対して、低緯度や低標高の森ではその期間が長くなっています。

これらに伴い、陸生動物が川に入ってくる期間は、高緯度・高標高では集中的に、低緯度・低標高では持続的になる可能性があります。


研究成果からのポイント

森から川への陸生昆虫の供給期間が集中的(食べれる期間は短いが日常の量が多い)な場合、魚同士の餌をめぐる競争が緩和され、どの魚もまんべんなく成長し、体サイズの個体差が小さくなった。

対して、陸生昆虫の供給期間が持続的(食べれる期間は長いが日常の量が少ない)な場合、大きな魚が陸生昆虫を独占して独り勝ちする魚社会になり、大きな魚ばかりが成長し、体サイズの個体差が大きくなった。

神戸大学大学院理学研究科


ここまでを簡単にまとめると

  • 集中的」昆虫の普段の量が多いので争いが少なくサイズは似たり寄ったり(水生昆虫は多い。落ち葉はすぐにボロボロに)

  • 持続的」昆虫は力の強い(体の大きい)個体が独占するのでサイズには差が出る(水生昆虫は弱い奴が仕方なく食べるので少ない。落ち葉は変化が遅い)
  • 持続型は繁殖できるサイズに育ちやすいので個体数(魚影)が多くなる傾向にある。


神戸大学大学院理学研究科


釣り的にはどう考えればいいのか

  • 上記から魚影などを考えるには、水生昆虫の量や水中の落ち葉の朽ち具合をみると少しはヒントになるということでしょうか。

  • 例えば手軽に釣りたいと考え田園地帯を流れるような渓流で釣る場合でも、少し上流の川沿いに広葉樹の森があることが望ましいと思います。(杉などの針葉樹は虫がつきにくいといわれています。)

  • 市販の餌であればやはりミミズが一番で次にブドウ虫、クリ虫など(経験も含む)

  • 「時期や時間」福島の私の場合は気温を含め釣りやすいのは田植えの終わった5月半ばから7月ば、8月下旬から禁漁になる10月まで。天気は晴天よりも曇り。贅沢をいえば前日に少し雨が降ったあとが良い。水温は上がりきらない午前中。早朝は狙い目ですがまだ熊の活動時間なので、リスクを下げるために私の場合はいくら早くても8時くらいの入渓と決めています。

おわりに


O-DAN


この記事は渓流釣りを勧めるものではありません。釣り以外の予備知識や装備がない方の単独での入渓は自制してくださいね。最後までありがとうございました。


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