近年クルーズ船などの大型船をはじめとした、船とクジラ(大型種)の衝突が増えてきています。
絶滅も危惧される種類も出てきたほどです。原因は何でしょうか?
日本近海では
2006年3月5日の対馬沖での衝突事故では、11人の乗客が軽傷を負いました。続く3月17日にも対馬海峡でクジラと客船とが衝突しました。さらに3月19日にも玄界灘で、博多発、釜山行きのフェリーボートが航行中にクジラと見られる海洋生物と衝突しました。このときは幸い乗客に怪我はなかったものの、船体の一部が損傷したために、博多に引き返しました。
このような事故が、韓国船を含めて、対馬海峡では最近相次いでいます。
大きな事故では4月9日に鹿児島県の佐多岬沖で、高速定期船がクジラらしい物体と衝突し、104人の重軽傷者が出てしまいました。船も大きく破損して、ニュースでも取り上げられ大騒ぎになりました。
このらの衝突事故は、九州以外の地域でも最近たびたび起きています。
佐渡汽船 |
2019年3月9日、午後0時15分ごろ新潟県の佐渡島沖の日本海で佐渡汽船のジェットフォイル(高速船)「ぎんが」が航行中にクジラと思われる海洋生物と衝突しました。
乗客121人と乗員4人が乗っており計80人がケガをし、13人の重傷者が出ました。覚えてる人もいるのではないでしょうか?
当時、視界は良好で波も1mほどのべたなぎでした。
当時、視界は良好で波も1mほどのべたなぎでした。
客船の場合には乗客の人命との関わりがあることから、事故が起きれば報道されますが、貨物船や漁船の場合はほとんど報道されていません。当然クジラと船の衝突は外国でも多発し、その対策が課題になっています。
絶滅が危惧されるクジラも出てきた
タイセイヨウセミクジラのイラスト |
アメリカの東沿岸近くにも生息するタイセイヨウセミクジラは寿命は50~70年で、体調約14m、重さ約70トンにもなる大型種です。
このクジラが1970~07年の間に死んだ3分の1以上は衝突が原因とされています。
いまでは250頭未満しか生息を確認しておらず、2018年の統計によると20年以内に絶滅するとの予測が発表されました。
なお、大西洋東側、ヨーロッパ側の個体群は絶滅したと考えられています。
※ちなみにアメリカではクジラに衝突すると罰せられます。
原因はどこにあるのか
船が高速、大型になってきている
衝突する種類のクジラの逃げる時のスピードは速くても20km/hほどなのでそれよりも早い船が来ても避けきれません。普段は5~15km/hで泳いでいます。
船の数自体が増えているのも要因です。
クジラは繁殖場と索餌場とが離れていて、その間を季節的に回遊して生活する性質があり、春と秋の回遊の際に狭い海峡を通過する時には必然的に密集します。
当然、船も海峡を通ることがほとんどです。つまり狭い場所にお互いが集まるのが事故の原因の一つになります。
地形によるもの
当然、船も海峡を通ることがほとんどです。つまり狭い場所にお互いが集まるのが事故の原因の一つになります。
対策はあるのか
残念ながら現段階では十分な効果がある対策は見つかっていません。
しかしアメリカでは「ホエール・アラート」というアプリが開発され提供されています。
また最近では「Whale Safe」と呼ばれる研究や取り組みがされ始めています。参考記事
以下、ロイター通信より抜粋
無料でダウンロードできるアプリ「ホエール・アラート」は、全地球測位システム(GPS)などの技術を使ってクジラの居場所の最新情報を米海洋大気局(NOAA)のデジタル海図上に示し、これをユーザーの端末に送信するもので、アースNCとガイアGPSの2社が開発した。これを使ったクジラ支援プロジェクトは、NOAAや内務省国立公園局(NPS)、沿岸警備隊、大学、それに動物保護団体が進めている。
あとがき
小さくしか報道されないことでも、興味をもって深堀していくと大きな問題が隠れているものです。逆に報道されない出来事のほうが闇が深いのかもしれません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
0 件のコメント:
コメントを投稿